名古屋市総合リハビリテーションセンター整形外科
服部 敏、長原 正静、窪田 泰浩、河合 憲一
同リハビリテーション科
小川 鉄男
脳性麻痺成人における遅発性脊髄機能障害(二次障害)に関する調査報告は少なく、長期的な予後についても不明な点が多い。
当センター整形外科およびリハビリテーション科では開設以来多くの脳性麻痺による頚髄障害者に対し診断・治療(保存的・手術的)・リハビリテーションを行なってきたが、
加齢に伴う二次障害の発症・進行機序解明および治療法検討のために、今回data baseのテンプレートを作成した。
アテトーゼ型脳性麻痺者では異常な筋緊張を伴った不随意運動により若年期より頚椎変形が発生し、
30~40歳代で既に進行した頚髄障害(以下アテトーゼ型頚髄症)を示すことも稀ではない。
第3~第5頚椎を中心に多椎間の脊柱管狭窄、後彎変形、すべりなどの椎間不安定性を伴い、筋電図による電気生理診断では多髄節に障害が認められる。
頚椎の変形は生活環境や労働条件に強く影響され、ADL(日常生活動作)の自立度が高く健常者に近い生活や就労をしてきた人ほど早期に重度となることが判明している。
また、一旦頚髄症が発症すると保存的治療が無効で急速に悪化し麻痺の進行を止めるために手術が必要になることが稀ではないが、
痙性や不随意運動をコントロールしながら手術を適切に行うことは非常に難しく、手術法についても確立されたものがないのが現状である。
現時点では科学的な証拠が十分ではないが、筋解離術やボツリヌス治療が頚椎の変形や頚髄障害の発生・進行を遅らせることができるのであれば、
変形や脊髄障害が進行してからの手術的治療から早期の予防的治療へと根本的に治療体系が変更される可能性があり、
前向き研究によりこの点を明らかにすることが重要と思われる。
そのためにも、痙性や不随意運動の強さを定量的に評価するシステムの開発とともに、アテトーゼ型脳性麻痺による頚髄症を頚椎の変形(前彎型・後彎型)・不安定性の有無・
不随意運動の強さなどに応じて分類した上で、治療成績を再評価する必要がある。
また、脊髄障害発症から手術までに長期間経過している場合が多く、手術で十分な除圧固定が得られたにもかかわらず術後の症状改善が不良であったり、
脊髄萎縮が残存するため一旦改善しても経過中に再悪化する場合が少なからず認められる。
従って、二次障害の啓蒙活動や検診システムを普及することにより早期診断が可能な環境を整えることも今後の重要な課題と思われる。


日比野敬明、佐藤千賀子、冨板充、熊崎忍
丹有子、松尾稔、榊原広泰
稲葉健太郎、八田京子、長野友里、轟木知佳
くも膜下出血後に高次脳機能障害を呈した患者さんたちに対して、名古屋リハでは、病院から施設、職能というリハビリの流れの中で、
各専門スタッフが専門性を生かしたサービスを行っています。
今回の研究では、作業療法士からは、麻痺のない人でも高次脳機能障害があることによって動作速度が遅くなることについて、生活指導員からは、
施設退所後の社会復帰の仕方に関わる要因について、職能指導員からは、就労に関わる要因について、
また臨床心理士からは家族の介護負担感と高次脳機能障害について、報告しました。
また、それらの知見をもとにガイドブック「みんなでささえよう」を作成しました。
名古屋市総合リハビリテーションセンター神経内科
田島稔久
アルツハイマー型痴呆症の発症前段階にある軽度認知障害mild cognitive impairment(MCI)患者と正常老化による認知力低下を見分けることは専門家でも大変難しいことがあります。
本研究ではPETという検査によってこれらを見分ける研究を行っています。平成16年度は14名の正常ボランティアの方のデータを用いてデータベースを作り、
それをもとにSSPという統計解析を行いました。
その結果目視評価だけでは困難であった極めて小さな変化をとらえることが出来るようになりました。
現在のデータベースはまだ人数も少なく不完全なため、平成18年現在も本研究を継続しデータベースの充実を行っています。

年齢相応の物忘れの患者さんのPET画像である。明らかな代謝低下は認められない。

アルツハイマー型痴呆の患者さんであるが、MCIの段階のPET画像である。 全体的に代謝は低めで頭頂葉と楔前部にわずかな代謝低下が見られるが、目視ではわかりにくい。

年齢相応の物忘れの患者さんの3D-SSP解析結果である。代謝低下部位がカラーで描出される。 明らかな代謝低下は認められない。

アルツハイマー型痴呆の患者さんであるが、MCIの段階の3D-SSP解析結果である。 両側楔前部と左頭頂葉に代謝低下部位が描出されている(矢印部分)。
名古屋市総合リハビリテーションセンター第1リハビリテーション部
山田和子、古川真理子、諸岡雅美、石黒安佐
同第2リハビリテーション部
佐藤晃
近年、失語症者の心理的社会的バリアを軽減するためには、当事者のみならず失語症者に接する人(パートナー)に対しても同様のアプローチが重要と言われています。
社会的にはバリアフリー理念が浸透しつつありますが、失語症者にとって言葉のバリアフリーは不十分です。
よって今回は失語症者のコミュニケーションバリアフリーを目指し、
(1)ケアマネージャーなど関連職種の方を対象に失語症会話パートナー養成講座(講義+演習)を開催しました。
(2)失語症者についての認識度の調査・分析として講座の前後にアンケートを行いました。
(3)失語症会話パートナー養成講座のテキストを作成しました。
その結果、「失語症の知識」「失語症者とのコミュニケーションの仕方」ともに認識度が改善し、 失語症者に対する理解をより深めることが出来ました。
今後も継続的にこのような講座を開催し、コミュニケーションバリアフリーを実現していきたいと考えています。